邦画で漫画原作の映画が失敗する理由は、いくつかあります。今回は失敗の原因を分析していきたいと思います。
1. 原作ファンの期待に応えられない
漫画原作の映画は、原作ファンの期待に応えられないことが多いです。原作ファンは、漫画の世界観やキャラクターをよく知っているので、映画でその世界観やキャラクターが忠実に再現されていないと、不満に思うことがあります。また、漫画と映画では、表現方法が異なるため、漫画で描かれていたシーンが映画でうまく再現できないこともあります。
例えば、2015年に公開された映画「進撃の巨人」では、原作ファンから「原作のストーリーを忠実に再現していない」という批判がありました。また、2017年に公開された映画「鋼の錬金術師」では、原作ファンから「CGが安っぽく見える」という批判がありました。
原作のファンは原作に対して思い入れがあります。なのでオリジナルの脚本で映画を制作するよりも期待値のハードルは高くなります。
2. 脚本が悪い
漫画原作の映画は、脚本が悪いことも多いです。漫画のストーリーをそのまま映画に移植すると、映画として面白くない場合もあります。また、映画オリジナルのストーリーを脚本にする際に、原作ファンの期待に応えられないこともあります。
例えば、2008年に公開された映画「20世紀少年」では、原作ファンから「映画オリジナルのストーリーが面白くない」という批判がありました。また、2015年に公開された映画「進撃の巨人」では、原作ファンから「映画オリジナルのストーリーが原作のストーリーと矛盾している」という批判がありました。
映画は基本的に上映時間が決まっており、概ね90分から2,3時間程度のものが大半です。それに比べて漫画の原作は長さもまちまちで「そもそも2時間のフォーマットの脚本に落とし込むのが難しい」というのがあります。
3. 予算が少ない
日本で制作される漫画原作の映画は、予算が少ないことが多いです。漫画原作の映画は、原作ファンからの期待が高いため、興行収入が期待されます。しかし、予算が少ないため、CGや特撮などの技術が十分に使われていないことがあります。また、キャストやスタッフの質も低いことがあります。
例えば、2014年に公開された映画「るろうに剣心京都大火編」では、予算が少ないため、CGが安っぽく見えるという批判がありました。また、2004年に公開された映画「デビルマン」では、予算が少ないため、キャストの演技があまり良くないという批判がありました。
漫画が原作の物は荒唐無稽なストーリーや奇抜な設定、現実ではない世界が舞台の物も多く予算が少ないとその世界観を再現するのも難しいです。予算が少なくお金をかけられないと、期待していたファンをがっかりさせる事になります。
4. 宣伝が悪い
漫画原作の映画は、宣伝が悪いことも多いです。漫画原作の映画は、原作ファンからの期待が高いため、宣伝しなくても興行収入が期待されることがあります。しかし、宣伝をしないことで、原作ファン以外の人々に映画を知られる機会を失うことになります。原作の知名度の高さに胡坐をかいて宣伝戦略をしっかり練らないと期待していた興行収入を大きく下回る事があります。
例えば、2015年に公開された映画「バクマン」では、宣伝があまりされなかったため、興行収入が伸び悩んだという批判がありました。また、2018年に公開された映画「いぬやしき」では、宣伝があまりされなかったため、原作ファン以外の人々に映画を知られる機会を失ったという批判がありました。
5. 公開時期が悪い
漫画原作の映画は、公開時期が悪いことも多いです。漫画原作の映画は、原作ファンからの期待が高いため、夏休みや冬休みなどの繁忙期に公開されることが多いです。しかし、繁忙期には、他の映画との競争が激しいため、興行収入が伸び悩むことがあります。
例えば、2017年に公開された映画「鋼の錬金術師」は、年末に公開されましたが、他の映画との競争が激しかったため、興行収入が伸び悩んだという批判がありました。
邦画で漫画原作映画が成功するためには
邦画で漫画原作の映画が成功するためには、これらの理由を克服する必要があります。原作ファンの期待に応える脚本、十分な予算、効果的な宣伝、そして、良い公開時期を検討することが重要です。
例えば、2004年に公開された「海猿」は、原作ファンの期待に応える脚本、十分な予算、効果的な宣伝、そして、良い公開時期を組み合わせることで、シリーズ4作品の興行収入合計が約240億円を記録し、大ヒットとなりました。
また2002年に公開された映画「ピンポン」は評価も高く今も根強いファンが居ます。
邦画で漫画原作の映画が成功するためには、これらの理由を克服し、原作ファンだけでなく、原作ファン以外の人々にも愛される映画を制作することが重要です。